第58回:あるギターメーカーに学ぶ商売の本質

商売をするにしても、何をするにしても、大切なのは本質は「人間関係」と「愛情」です。

今回の話は、リペアをお願いしたあるギターメーカーさんとのやり取りの中で感じた、商売の本質みたいなものについて、語らせていただいています。

この話から、何か感じ取ってもらえたら嬉しいです。

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<ラジオ書き起こし>

 

今日のテーマは「あるメーカーに学ぶ商売の本質」と言う内容で進めていこうと思います。
僕はギターの講師を仕事にしているということもあり、一個人としては持ちすぎなくらい、多くのギターを所有しています。
それこそ海外の有名なブランドのものから、アジアで大量生産されているような安価なギターまで、あらゆるギターが揃っています。
やはり海外の有名なブランドギターと言うのは、見た目、サウンド共に魅力的で、世界中で人気を博しています。
有名なところだと、Martin、Gibson、Fenderなどは、各社ともにオリジナリティーあふれる魅力的なギターがラインナップされていて、ギター弾くなら一度は憧れたことがあると思います。
日本メーカーも丁寧なものづくりと、安定した品質、サウンドで、海外での評価も高く、特にIbanezというブランドはロックからジャズまで、幅広いギタリストに愛用されています。
さて、今日はそんなギターメーカーの中から、僕が最近感動していっぺんに大ファンになってしまったメーカーの話をしてみようと思います。
今回の話には、商売・・さらには人間関係の本質が多分に含まれていると思います。
さて、今回取り上げるギターメーカーは「ヤイリギター」という岐阜県にあるギターメーカーです。
お亡くなりになった前社長、矢入一男さんは黄綬褒章(おうじゅほうしょう)が授与されたことでも有名な方です。一男さんのイニシャル「k」をつけて、K.Yairiというブランドでギターを作っています。
このヤイリギターですが、日本ではそこそこ認知されており、見たことのある方は多いと思います。
日本のメーカーと言うと、ヤマハ、モーリス、Takamineなど、そうそうたる面々が揃っていますが、その中でもヤイリも引けを取らない存在として、ギタリストに愛されています。
で、そんなヤイリギターさんですが、岐阜県可児市と言う場所でギターを制作しています。ギター作りと言うと、有名企業の場合海外に工場を持ち、大量生産をするのが一般的ですが、ヤイリギターさんは一貫してこの可児市の工房で製作を続けていらっしゃいます。
私も20万円を切る価格帯のK.Yairiのギターを一本持っています。
ギターで20万は高いのか安いのかなかなか一般の方にはわかりにくいと思うのですが、海外の有名ブランドのギターから比べると格安と言っていい金額設定です。
有名なマーチンで同じようなギターを買おうと思ったら、倍以上の金額を出さなければなりません。
ちなみに、品質に関して言えば、海外有名ブランドのギターでは考えられないレベルのハイクオリティです。
当初このギターは、レッスンの時に体への負担を抑えるために、小ぶりなギターを探していて出会ったものなのですが、今ではメインで使っていたマーチンよりも、このヤイリのギターをメインで使うようになっているほど気に入っています。
ギターと言うのは、季節の変化や湿度にかなり左右される楽器です。何せすべて木でできていますから、こういった影響受けてネックがそってみたり、ボディーが膨張してみたり、管理がかなり大変なのです。
そんな中、このヤイリのギターに関しては、こういった影響受けずに非常に安定しており、安心して毎日の仕事で使うことができるところが大いに気にいっています。
音に関しても、海外のブランドにはない独特な魅力があり、一言で言うならばとても素直なサウンドを鳴らしてくれる楽器で、どんな演奏にもピタっとはまってくれる安心感があります。
そんなこんなでとっても気に入っているヤイリギターなのですが、つい数ヶ月前、ギタースタンドにうまく立てかけられず、思いっきり倒してしまうと言う事故を起こしてしまいました!
バーンという、めちゃくちゃ大きな音とともに、硬い金属面にネックが思い切りぶつかったヤイリくんは、演奏において最も重要な「フレット」というパーツのいくつかを損傷するという、大怪我をしてしまいました。
演奏にも影響のある程度の損傷でしたが、毎日仕事で使っているギターなので、騙し騙し使用を続けておりました。が、さすがに音が鳴りにくい箇所があるというストレスに耐えきれず、一昨日ヤイリギターさんに修理の電話を入れることにしたのです。
ちなみに、このレベルのリペアになると、一般的には3〜5万円くらいいくものです。
年末に痛い出費だなぁなんて思いながら恐る恐る電話をしてみたのですが、まず症状を伝えた後の第一声が「それは大変でしたね」という気遣いの一言で、なんだか泣きそうなくらい暖かい気持ちになりました(笑)
しかも、電話に出てくれた方は、ヤイリギターの修理を実際に担当される人物で、そういう方が直々に対応してくれたことも、とても安心感がありました。この方はヤイリのホームページのリペアの項目に顔写真とともに掲載されており、その方と直々にお話しができた事で、「このギターはきっちり治って返ってくる」という確信を得ることができました。
ちなみに、めちゃくちゃ物腰の柔らかい口調の方で、こちらも構えることなく症状を正確に伝えることができたため、安心してギターをお任せすることができました。
僕の場合、過去に何度かリペアで失敗していることがあり、今まで弾きやすかったギターがめちゃくちゃ弾きにくくなって帰ってきたり、症状が全く改善せずに戻ってきたりしたことがありましたので、リペアに関してはかなり慎重になっていたのですが、この対応だけで「絶対大丈夫!」と言う安心感を得ることができたことが非常に大きかったです。
今までリペアに失敗してきた時と言うのは、「こちらの話がちゃんと伝わったかな。。」と言う一抹の不安を抱えていたものです。ですが、今回の対応は、こちらの伝えたことをさらに噛み砕いた形で復唱してくれ、「ちゃんと伝わった!」と、心から思うことができたのです。
ここまでの対応だけでも、いくら払ってでもお願いしたいと思ってしまっていたのですが、金額を聞いてビックリです!
なんと、「8000円くらいでいけると思います」とのことだったのです!!
これには正直驚きました。先ほど言った通り、通常は安くても3万円はかかります。それが8000円ですから(笑)
確かに何かで読んだり、聴いたことはありました。「ヤイリギターは生涯顧客を大切にしてくれる」と。そして、顧客の大切なギターを丁寧に扱い、ヤイリを気に入ってオーナーになってくれたなら、いつまでも格安でメンテナンスしてくれると。。
でも、まさかこのレベルまでとは!!
完全に心が震えましたね。もう、次買うギターもヤイリで決定です。
そんなことを考えていたら追い討ちをかけるように、「1週間くらいでお手元にお戻しできます」という優しい一言。
それが1週間て言うのだからもうもはや笑ってしまいます。どこまで顧客を大切にしてくれるんだ!という「愛」みたいなものまで感じてしまいます。
僕は常日頃、「職人は急がすな!」というポリシーでいるのですが、職人の方からこのように歩み寄ってきてくれる姿に、大いに心を打たれてしまいました。
そして、この「愛」みたいなものが、製品にも現れているような気がしました。
こうやって愛を持って、大切に生み出されるヤイリのギターは、値段関係なく愛おしく思えますし、生涯大切にしようと思えるようになりました。
今回の一件は、僕ももっと自分の発信する情報や、提供するサービスをこのように思ってもらえるよう、丁寧に仕事をしていこうと強く思った出来事となりました。
この話から、あなたも何かを感じ取ってもらえたら嬉しいです。
ということで、今日も最後までお聴きくださり、ありがとうございました!
また次回も楽しみにしていてくださいね!!